デナリ登山を達成した栗秋正寿さん【山の旅人】

山の旅人

冬季のデナリは-50℃を下回る極寒の地。
風速100mを超え、通常の人が一生の内に経験することのない空間。

そんな冬季のデナリに、単独登頂を達成した栗秋さん。
この登頂は冬季のデナリ単独登頂の世界初達成者である。

シーズン中は毎年400~500人を超える人が登頂に成功させているが、冬季のデナリでは2015年までに冬季登頂を達成させたのは 10隊17人で、うち5人が 単独。
冬季のデナリにトライし6人が死亡している。

本書【山の旅人】は旧書のアラスカ垂直と水平の旅の増補した新版であり、デナリ登頂をトライする栗秋さんの心情、目にした光景を文章で表現されています。

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デナリとは

デナリとはアメリカ アラスカ州にある山であり、2014年以前はマッキンリー山と呼ばれていました。

世界標高の山と言えばエベレストを思い浮かべますが、 比高 ではエベレストが3700mに対し、デナリが5500mもありデナリの方が高いと初めて知りました。

比高は麓から山頂までの高さを示します。
登山の過酷さだと、デナリの方が難しいと言えるかもしれません。

冬季デナリ登頂の過酷さ

冬季のデナリではとても過酷な環境であることを本著で知ることが出来ました。

・お湯を沸かすために20分以上の時間がかかってしまう。
・結露した内部のテントが凍ってしまう。

普通の日常生活では考えられない環境であり、想像の付かない寒さに多くの影響を受けることが分かります。

また、デナリ登頂に向けてトレーニングをする際は、マグロを冷凍保管する-50℃の冷凍庫内で過ごし、寒さに対するトレーニングを行っていたそうです。

夢を叶えてしまった後の虚しさ

栗山さんはいつしか夢となった冬季デナリの単独登頂を成功させました。
その大きな夢は簡単に実現することは無く、多くの時間をかけて実現に至りました。

登頂していったい何が変わるというのか。
山が変わるわけではない。
それではなぜ、私は今こうして立っているのか。
山頂は何もこたえてはくれない。
もし仮に、何かが少しだけ変化するというのなら、それは登山者の心の奥深くにあるものだろう。
山頂には登山者の夢がある。
その頂に立って夢がひとつ実現すると同時に、その夢は消えてしまう。
しかし、また新たな夢がひとつ生まれる。
嬉しいという気持ちと寂しいという気持ちが交錯する。
こういう思考を繰り返すことにより、登山者自身の"心の糧"を少しずつ得ていくのだろう―。

山の旅人より

大きな夢を実現したことにより、大きな焦燥感と共にまた新たな目標を見つけます。
デナリの登頂により垂直の旅を実現し、次なる目標として水平の旅に出発しました。

まとめ

【山の旅人】ではデナリと言う山の過酷さ、栗山さんと言う一人の凄い登山者を知ることが出来ました。

冬季のデナリを登頂することは自然との闘いとともに、自分自身との闘いであるのかもしれません。

そんな自分との闘いが上手く文章に表現されているため、雪洞の中で過ごしている栗山さんの状況が頭の中に浮かんできました。

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名前:リーマン_ちぇるしー 職業_製造業 本ブログでは①製造業に関すること、②読書、③日本酒に関する情報を発信しています。